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04.建築士(建築士事務所)は何をするか?

(1)設計以前の作業

A.予算計画に参加、助言など

●建主の予算に対する各工法の内容や利点・  欠点の説明・相談など。
 例えば木造・鉄骨・コンクリート・などはそれぞれいくらの予算が必要か?それぞれの特質は?この場合どれが最適か?などについて相談する。
●建主の予算で何と何をするかの相談。
 建築工事はいくら・電気や給排水冷暖房などの設備はどれとどれとどれが、それぞれいくら・什器や家具などを造り付けにする場合の利点は何?・その予算はいくら、などについて詳細な例をあげて相談をする。
●もちろん、住宅金融公庫や公的融資などの相談。

B.工事の計画に参加、助言など

●工事の期限など。
●工事施工の方法。

1)特命とはどういうものか?
2)入札とはどういうものか?
3)見積り合わせはどうか?

などを説明。この場合はどれが最適か?などについて相談する。

C.生活に適切な間取り、空間の構成、デザイン (=計画)を具体的に助言など

●間取り
 一般に設計を依頼される場合、ご自身で考えたプラン(間取り図)を持って来られて、「これはどうですか」とおっしゃる場合がある。
 それらのプランは、その方がマンションに住んでいる方だとそのプランも〈マンションの間取り〉みたいだし、住宅メーカーの家に住んでいた方はやはり〈住宅メーカー型のプラン〉に似ている場合が多い。(自分が知っている家に似てしまうことが多い)間取りは〈部屋の並べ方〉ではなくて〈その空間に住む方や家族が快適で合理的で便利で良いデザインを感じて生活するのに最善の空間〉を創作もしくは選別することである。その作業を設計事務所は依頼された方と一緒に、そして依頼された方のために努カする。

 大工はカンナをかけるのが上手いとすれば、また建築会社は家を作る工事が上手いとすれば、設計事務所は家を考え創作しデザインすることが上手い。
 
 そしてあれやこれやを具体的に解説し説明し相談する。例えば「この柱はなくてもいい」とか「この部屋は大きなテーブルを置くと椅子に座った人の後ろを通れない」とか「柱を特注する費用で絨毯とカーテンができるけどどっちにするか」とか。計画を一緒にしてくれる。

D.日常または休日の「各家族一人一人の生活」「性格」などを満たす、最適な空間はこれで良いのか?

●子供がおとなしいから活発になるように、子供部屋も明るい場所で家族と触れ合いが多い場所に設置し、色や配置なども明るいデザインにするなどの気配りをする。(例えば 陰気な子供の部屋の壁を、グレイやブルーにすることは設計ミス…)
●「主人は釣りが好きだから釣り竿を繋ぐ長い空間が欲しい」など、一緒に考え、実行できるように工夫する。

E.日常または休日の「家族全体の生活」に適切な間取りか?

●例えば、休日は家族で食事をする、娘のピアノのレッスンを中心に家族が団らんする、その他、家族の生活に適切な空間の組み合わせや全体の構成(間取り)を、建主や建主の家族と一緒に考える。

F.その他、あらゆる方面にわたっての相談など

●「高そうだから…」とか「こんなこと言ったら…」などと考えて、設計事務所と話をしないことがある。が、設計事務所は「それは予算がこれだけかかる」とか「やっても後で無駄になる」とか「それはイイデスネ」とか対応してくれる。あらゆる方面にわたっての相談をする。どんなことでも話をしていただきたい。

(2) 設計図書の確認

 設計図書を作る。その設計図書が「住宅を建てる方」の要望・意図・その他に対して適切であるかどうか、確認する。(でき上がった図面、書類ごとに説明をする)

● 語し合ったあと<設計図書に設計図と仕様書〉ができる。その〈設計図書〉は見積りを経て工事金額を決定するものであり、またその住宅の施工の詳細までを決定するものである。だから〈その設計図書〉が建主の希望や要望を確実に満たすものかどうかを、見積や工事施工の前に建主が確認しなければいけない。ところが、建主は〈設計図書〉を自分の眼では確認できないことが多い。「ここはこうなっていますよ」と図面を見せながら説明をして確認しなければいけない。(設計図書が建主の要望と違っていないように、再度それも、具体的に確認をする作業を設計事務所がする)

(3) 設計図書を施工者に説明する

 設計図書を「住宅を建てる側」に代わって施工者に提示し、説明し、質間などに応える。

●設計事務所は〈建主と語し合いをしてでき上がった設計図書〉を施工者に手渡し、詳細を説明する。施工者はその設計図書を見て<質疑書〉を設計事務所に提出する。設計事務所はその質疑に〈応答書〉を出す。施工者はこれらによって更に詳しい情報を得てから〈設計図書〉に基づく〈見積書>を作成提出する。相手の施工者は2〜3社を競争させてもよい。

(4) 見積書のチェック

 施工者(建売業者や住宅メーカ一あるいはエ務店など)が提出した「見積書」をチェックする。

●設計事務所はその見積書の内容が適切か(材料・数量・単価・手間賃・会社利益・その他各金額が妥当か)をチェックする。

見積書というものは、
 @材料(製品なども同じ)が単位当たりいくらで=単価
 Aそれがどれだけ必要か=数量
 B合計いくらか=金額と記述されている。
施工についても
 @一人いくらの職人が=単価
 Aその工事を仕上げるのに何人かかるか=数量
 B合計いくらかかるか=金額と記述されている。

 これらがその住宅全体にわたって拾い出されている。その全項目の金額が合計されたものに〈施工の現場経費〉と〈会社経費〉を加えたものがその住宅の総金額である。それに消費税。普通、現場経費は12.5%内外、会社経費が12.5%内外である。または、両方を一緒にして経費とすることもある。この場合、経費の金額や%を気にすることは大事ではある。しかし、もっともっと大事なことがある。
 例えば、「おたくだから経費を無しにしましょう。儲けなくてもいい…」と言って見積書に記載されていた経費を0(ゼロ)にする<売手〉がいる。少なくとも、経営をしている個人や会社である以上、「経費をゼロにすること」はあり得ない。「経費をゼロにする」ということは「その分がどこか他の項目に紛れ込んでいる」ということである(もし本当に経費がゼロでも仕事をするならば、それは〈倒産前の自転車操業〉の可能性があるからかえって注意しなければいけない)。だから、「経費をゼロにする」ことよりも、他の項目の単価・数量・金額が設計図書に基づくものであり、妥当なもの、正当なもの、であることが大切である。こられが妥当か?正当であるか?は専門的な知識と経験を必要とするものである。一般の方々では分かりにくい。設計事務所は〈売手の見積書〉をチェックするときにどうするか?は次の通りである。
 @まず、材料(製品)の単価が正当かどうか?
 Aつぎに数量を確認する。すべての材料等の数量が、設計図書のとおりであるかをチェックする。
これら全項目を詳細にチェックする。第三者、つまり売手側ではなく、買手側に立って…。だから「経費がゼロ」と言っても、それ以上のものが他の項目こ紛れ込まされていたら、ちゃんと分かる。設計事務所は一般にこのような見方をする。したがって
 @「経費はゼロ」といったらかえって注意する。
 A見積の他の項目全体が正当(実費=安い)であるかどうかを見定める。
 B見積が正当であれぱ、経費も正当なだけ認める。その方が結局は、安くてよい買い物をすることになる。

(5) 適切な施工者を選定するためのデータなどを整理し、建主に助言・進言する

● 見横書を提出した施工者<売手〉(一社または数社)のデータを整理して建主<買手〉に助言する。(見積内容を検討したり、事前の質疑の内容を分析したりすることから、施工者<売手>の技術的能カが分かることもある。)見積書は具体的な金額を表わすものであるが、同時に、その見積書を作成した側の意図や技術的な傾向をも物語るものでもある。例えば、木材や大工手間賃が高いか安いかで〈木材エ事〉を〈いっも使っている社員に近い立場の大エ>が担当するのか、<別のグループ〉に外注するのか、わかる。全体に安いのに、電気工事が高いのはなぜだろう?。とか、考えていくと、社長の弟が材木会社をやっている、しかし、設備関係は大きな設備会社と提携しているようだ、とかがわかる。現在は、会社・個人を問わず、何らかのやり方で技術を高めることによりコストを削減し、価格を下げないと生き残れない時代である。そのことに対する会社の姿勢が、見積書の数字や項目や構成に表れる。見積の過程でやりとりする質疑応答についても言える。「こんな質問をする会社は、どうも…」となることもある。また、設計事務所は年に、数件あるいは10数件の住宅の建設にかかわっている。それらの、着工から完成までのすべての過程に関与している。当然〈売手〉側のやることや、その背景も熟知している。それやこれやを専門家として総合し、整理して助言する。

(6) 買手と売手の契約に立会い、署名捺印する

(住宅を建てる方:買手、工事を施工する方:売手)

● 契約はその住宅のすべてを決定するものである。その契約に立会い、署名捺印するということは、契約以後のあらゆる問題について、「これは設計図にこうあったからこうなのだ!」とか「これはこうなければいけないことだからこうしなければいけない」ということを、〈買手〉の立場で判断していくことを、〈買手〉に対して約束するということである。そして、〈買手〉に代わって必要な指示をしていく立場であることを、<売手〉に対して宣言することでもある。

(7) 確認申請などの手続き

●行政関係の手続き、住宅金融公庫、など(代行もしくは指導)

(8) 各工事の施工を監理

 工事施工に関して、各工事の必要な時期に監理をする。施工が「契約=設計図書、見積書 等」に反する場合には修正させる。また、技術的に不備である場合なども適正にさせる。

●設計事務所は第三者の立場で、公正に、建主のために監理をする。専門的な立場で監理する。

(9) 各工事の適切な検査

 工事の各段階に関して適切な「検査」をする。

●鉄筋が設計図書の通りか?防水が適切であるか?設置した機器が作動するか?などの全般全項目こ必要な検査や試運転等をする。検査に〈合格>しないと施工は次に移れない。

(10)工事費支払いの審査

●途中も合めて、施工者の請求金額は全てチェックし、支払いの金額・時期等について、承諾をする。普通、工事途中の工事金額は、工事の進め方によって建主が施工者に支払うものである。その時点で、その金額その時期が適切かどうかを設計事務所がチェックする(払い過ぎで工事中断などがあったとき、不測の損害をこうむらないようにするためである)。

(11)完成検査

●できあがった建物が「契約=設計図書、見積書 等」どおりにできていることを確認する。検査に〈合格〉してはじめて引き渡し、工事費の最終支払いができる。

(12)設計監理業務報酬

●よく設計事務所を頼むと「高くなる」と言う方がいますが …・そうでしょうか?

@工事の見積書である項目のある材料が単価1,000円、その数量が5個、その工事手間賃が3,000円、合計8,000円となっています。そして同じような項目が少なくても800から2000項目ある。その単価がそれで良いのか?その数量が多すぎないか?この工事の手間がそれだけかかるのか?などについて全項目をチェックします。設計事務所が作った〈設計図書>に従って見積する場合、〈その見積書〉をその設計事務所がチェックするのが当然です。見積が設計内容の通りになっているかどうかは、設計した者が一番よく評価できるからです。設計事務所の設計監理があると、工事金額はむしろ安くなることは、いまや一般の常識です。

A設計事務所は設計をするときに「その住宅が少しでも良くなる」ように考えます。また、工事金額が見た目に安くなっているかのように、当然含まれているべきものを別途にしたりすることをしません。建主が必要なものを全部含んで設計をします。「高い」のではなくて「グレードが高く」また「別途などがない」のです。以上の多くの作業を設計事務所が担当した住宅は、建主の要望を満たし、建主の予算に合わせたものであり、グレードが予算の範囲内でできる限りのものになっているはずです。設計監理料は、これら建主のための技術・経験・知識ある有資格者の〈技術料〉なのです。そして、その<技術料を払ったとき〉の工事金額は<技術料を払わなかった時〉よりも安くなっていて、しかも、グレードが高く、使いやすく、快適な住宅になります。「ぜいたくな住宅」や「予算のある建主」だけが設計事務所をつかうのではありません。むしろ「敷地が狭い」、「家族が多い」、「予算か足りない」、「敷地が斜めになっていたり崖があったり」、などがかえって設計の腕を必要とします。<安い住宅〉は程度を落とせば<やさしい〉物ですが、グレードを落とさないように気を使えば使うほど、〈難しい〉のです。つまり〈設計の腕〉が必要になるのです。<安い住宅〉、〈色々の問題がある住宅〉ほど設計事務所が(技術料を払ってもなお)必要だと思ってください。業務報酬は建設省の告示により決められていて、人件費十経費十技術料で成り立っています。その仕事に拘った日数に 1日当たりの収入(日額)を掛けたものが人件費です。経費は人件費の同額まで認められていますが、事務所の規模により巾があり、ここで価格の競争原理が働きます。技術料は特殊な設計の場合やブランド料などの加算です。日数か不確定の時は、標準人・日数が目安になります。一例として、3,000万円の住宅では、設計32人、監理16人です。仮に日額を4万円と想定し、経費を0.7とすると48×4万円×(1+0.7)=326万円となります。日額は、経験や年齢、地域性により変わります。標準人・日数は建物の種類、工事費によりデータが作られています。

(13)設計監理者の見つけ方

 設計事務所をどうやって見つけるのでしょうか?
 特に、貴方に合った設計事務所を!
 まず、建築士事務所(登録)の資格がない事務所は間題になりません。

建築士事務所といっても色々あります。
●構造が得意な事務所
●設備が得意な事務所
●見積や積算などをする設計事務所
●公共や行政関係の仕事が多い事務所
●確認手続きが專門の事務所
●大きいビルや体育館等が得意な事務所
●デザインが優れた事務所
●住宅が得意な事務所
色々あります。
そして、貴方(建主)にあった設計事務所が必要です。
設計事務所が見つかったら、設計監理を委託する前に、色々のお話をすることです。お話を面倒くさいとか暇がないとか言うようであったら、その設計事務所は貴方の住宅には向かない事務所です。次の設計事務所を探してまたお話をしてください。

(14)設計者とのトラブル

 途中でその設計者と<気が合わない〉ときはどうするか?
 他の設計者に替えても良いか?それができるか?

●設計事務所には貴方(建主)のお金を任せることになります。
設計監理の腕があっても、建主との間に信頼関係がなければ良い仕事はできません。そのために、忌揮なくお話をすることです。設計監理等の業務を委託する前にお話をしてください(過去の作品等を見せてもらってください)。間取りのプランやスケッチやメモなどは、まだ先にしてください。よくロクに話をしないうちに「貴方の間取りはこうしたらどうでしょうか」と言って間取りのスケッチを書いたりする事務所がありますが、それは信頼が出来てからのことで間に合います。作業は<作業を見てから信頼するもの〉ではないのです。〈信頼したからする〉作業とお考えください。信頼する前に〈作業〉をすると〈作業の代金〉が出ることもあります。信頼ができなかったら、別の設計事務所と会って、お話をしてください。それで良いのです。一つの方法は、団体に加入している設計事務所に会い、お話をすることです。団体の役員に、その団体に加入している設計事務所を紹介してもいます。その事務所とお話をして〈貴方と気が合わなかったら〉遠慮なくもう一度役員に電話等して、別の事務所を紹介してもらってください。何度でも良いのです。こういうことのできない団体や事務所は、逆に信頼できないと思って良いのです。良い設計事務所を見つけてください。そして、最良の住宅を造ってください。

(15)建築士の作業を、部分部分で分割契約できるか

●その場合、各部分ごとに契約をすることもあるが、各部分が少し高くなるのが普通である。


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